「高幡不動尊って、何の神様のお寺なのだろう」
「厄除けや交通安全に良いと聞いたけれど、自分の願いにも合っているのか知りたい」
そんな疑問や不安を持っている方は少なくありません。
名前に「不動」がつくので不動明王のイメージはあっても、境内にはほかにもさまざまな仏様・神様が祀られており、どこで何をお願いすれば良いのか迷ってしまいます。
この記事では、真言宗智山派の名刹・高幡不動尊(金剛寺)について、
- 高幡不動尊は「何の神様」のお寺なのか
- ご本尊である不動明王の役割とご利益
- 聖天堂・弁天堂・虚空蔵院など、堂ごとの仏様・神様
- 願い事別の参拝ポイントと回り方
- 参拝マナーと季節の楽しみ方
を順番に解説します。
初めての方でも安心して参拝できるように、専門用語には簡単な説明を添えながら進めていきます。
高幡不動尊はどんなお寺?基本情報と名前の由来
正式名称・場所・アクセスの基本情報
高幡不動尊は、正式には「高幡山明王院金剛寺(たかはたさん みょうおういん こんごうじ)」といい、東京都日野市にある真言宗智山派の寺院です。
新宿から京王線特急で約30分、高幡不動駅で下車し、徒歩数分というアクセスの良さから、週末のお出かけ先としても人気があります。
「高幡不動尊」という呼び名は、山号の「高幡山」と、ご本尊である「不動明王」からきた通称です。地元では「高幡のお不動さん」として親しまれており、初詣には毎年多くの参拝客が訪れます。
関東三大不動としての歴史的な位置づけ
高幡不動尊は、成田山新勝寺(千葉)、大山不動(神奈川)と並んで「関東三大不動」の一つとされる、由緒ある不動明王信仰の霊場です。
その起こりは平安時代初期、慈覚大師・円仁が清和天皇の勅願により、この地を「東関鎮護の霊場」と定め、山中に不動堂を建立して不動明王を安置したことにあると伝わります。現在の不動堂は、室町時代に麓へ移されたもので、東京都内で最も古い文化財建造物の一つです。
戦国時代には、漆を塗られた不動明王像が光に反射して汗をかいているように見えたことから「汗かき不動」と呼ばれ、武将たちの戦勝祈願の対象となりました。江戸時代になると、火伏せ・火防の不動尊として庶民の暮らしを守る存在となり、今も厄除け・災難除けで厚く信仰されています。
お寺における「神様」と「仏様」の違い
高幡不動尊は神社ではなく「お寺」ですので、「神様」ではなく「仏様(ほとけさま)」をお祀りしています。
とはいえ、日常会話では「どんな神様ですか?」という聞き方が一般的なので、この記事では分かりやすさを優先して、「どんな神様・仏様なのか」という表現で説明していきます。
お寺の中心となる仏様のことを「ご本尊(ほんぞん)」と呼びます。高幡不動尊のご本尊が、不動明王です。
不動明王とはどんな存在か
不動明王(ふどうみょうおう)は、密教で非常に重要な仏様で、「明王」と呼ばれるグループに属します。明王は、悟りの世界にいる仏・菩薩の教えを、私たちに分かりやすく、時に厳しく伝える“使者”のような存在です。
不動明王は、大日如来(だいにちにょらい)という宇宙的な仏が、迷い多い人間の世界を救うために、あえて怒りの姿となって現れたものとされています。剣と縄を持ち、炎を背にして座る姿は、
- 剣で迷いや悪縁を断ち切る
- 縄で迷える人々を正しい道へ引き寄せる
- 背後の炎で煩悩を焼き尽くす
ことを象徴しています。
怒った顔をしていますが、根底にあるのは「何としてでも人を救おうとする強い慈悲心」です。怖い顔をしているのは、弱い立場の人を守るために、悪をにらみつけているからだと理解すると分かりやすいでしょう。
高幡不動尊の不動明王の特徴とご利益
高幡不動尊のご本尊は、古くから日本一とも称えられてきた「丈六不動三尊像(じょうろく ふどうさんぞんぞう)」です。丈六とは、約4〜5メートルほどの大きな仏像を指す仏教用語で、中央に不動明王、その左右に二体の童子(どうじ)を従えた三尊形式になっています。
この丈六不動三尊は総重量1100キロを超える巨像で、長らく修復が必要な状態でしたが、近年修復を終え、現在は奥殿に安置されています。
一方、普段目にすることが多いのは、不動堂に安置されている「新丈六不動明王像」で、こちらは身代わり本尊として護摩祈祷の中心となっています。
不動明王のご利益として、高幡不動尊では次のような願い事が案内されています。
- 厄災除・災難消除(災いを退ける)
- 家内安全・身体安全・無病息災
- 交通安全・旅行安全
- 商売繁昌・事業繁栄・社運隆昌
- 当病平癒・手術成就・負傷平癒
- 学業成就・合格成就・就職成就
- 心願成就・開運満足 など
これらの願いは、護摩祈祷(ごまきとう)という密教独特の儀式で、不動明王の前に火を焚き、煩悩を象徴する薪を燃やしながら祈られます。護摩の炎は不動明王の智慧の火を表し、その力で災いや迷いを焼き尽くしてもらう、というイメージです。
境内ごとに違う神様・仏様|聖天堂・弁天堂・虚空蔵院など
高幡不動尊には、不動明王だけでなく、願いごとに応じて参拝したい堂や仏様・神様がいくつもあります。ここでは代表的なものを整理しておきましょう。
聖天堂の聖天さま(歓喜天)と恋愛・夫婦円満のご利益
境内左手にある「聖天堂」には、聖天さま(しょうてんさま)が祀られています。聖天は「歓喜天(かんぎてん)」とも呼ばれ、象の頭を持つ男女二神が抱き合う姿とされる、少し珍しい仏教の神様です。
インドでは、象の神・ガネーシャとして「富と成功の神様」としても知られており、日本でも古くから現世利益をもたらす神として信仰されてきました。高幡不動尊の聖天さまは、特に次のようなご利益で知られています。
- 夫婦円満
- 恋愛成就・良縁成就
- 事業繁栄・商売繁昌
- 除災招福
恋愛や結婚、夫婦関係のことで悩んでいる人が多くお参りに訪れるスポットです。心の中で、具体的な状況と「こうなりたい」という未来像をしっかりイメージしながら手を合わせるとよいでしょう。
弁天堂の福徳弁財天と金運・財運のご利益
弁天池に浮かぶ小さな島に、朱塗りの可愛らしいお堂「弁天堂」があります。ここには、七福神の一柱である福徳弁財天(ふくとくべんざいてん)が祀られています。
弁財天は、水の神・芸能の神として知られますが、高幡不動尊の福徳弁財天は「金運・財運アップ」で有名です。
- 金運上昇
- 仕事運向上
- 芸事・音楽・表現の才能開花
などを願って参拝する人も多く、境内の中でも静かで落ち着いた雰囲気の金運スポットになっています。
虚空蔵院の虚空蔵菩薩と知恵・学業成就
「虚空蔵院(こくうぞういん)」には、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が祀られています。虚空蔵菩薩は、広大な宇宙空間のように無限の知恵と慈悲を持つとされる菩薩で、昔から「十三参り」の仏様として大切にされてきました。
十三参りとは、数え年で十三歳になった子どもが、厄除けと知恵授け・開運を願ってお参りする行事のことです。そのため、
- 学業成就・試験合格
- 仕事での判断力・集中力アップ
- 子どもの成長と無事
といった願いごとに向いている仏様といえます。
大日堂と大日如来、大師堂の弘法大師など
境内奥にある「大日堂」は、高幡山の総本堂です。ここには、大日如来(だいにちにょらい)をはじめ、多くの仏様が安置されています。大日如来は、宇宙そのものを表す中心的な仏で、あらゆる仏様の根源ともいわれます。高幡不動尊では、鳴り龍天井でも有名な堂内で、静かに手を合わせることができます。
また、「大師堂」には真言宗の開祖である弘法大師・空海(くうかい)が祀られています。弘法大師は、学問・書道・芸術・修行の象徴でもあり、真言密教を日本に広めた人物です。日々の精進や学びを続けたい人は、大師堂にも一度立ち寄ると良いでしょう。
願い別・ご利益別のおすすめ参拝ルート
ここからは、「何をお願いしたいか」に応じて、どの堂を中心に回ると良いかを整理します。実際にはすべて参拝してもかまいませんが、目的がはっきりしていると心構えが整いやすくなります。
厄除け・災難除け・交通安全を願うなら
厄除けや災難除け、交通安全を願う場合は、やはりご本尊の不動明王にしっかりお参りするのが基本です。
順路の一例としては、
- 仁王門をくぐり、手水舎で身を清める
- 不動堂で不動明王に参拝
- 時間が合えば護摩祈祷を申し込む
- 大日堂で一年の無事と心の安定を祈る
という流れが分かりやすいでしょう。車の交通安全祈願を希望する場合は、境内にある「交通安全祈願殿」で受付をする仕組みになっています。
恋愛成就・夫婦円満・良縁を願うなら
恋愛や夫婦関係の願いを持っている場合は、
- 不動堂の不動明王に「悪縁を断ち、心をまっすぐに保つ」ことをお願いし
- 聖天堂の聖天さまに「良縁・夫婦円満」をお願いする
という二段構えのルートがおすすめです。
不動明王は、執着や迷いを断ち切る力を象徴しています。一度、不動堂で心の整理をしたうえで、聖天堂に向かうと、自分にとって本当に必要なご縁が見えやすくなります。
金運・仕事運・商売繁盛を願うなら
金運や仕事運、商売繁盛を願うなら、弁天堂の福徳弁財天は外せません。
参拝のイメージとしては、
- 不動堂で「仕事の不安や迷いを手放すこと」をお願いする
- 弁天堂で「具体的に達成したい売上目標や、仕事での成果」を思い浮かべながら金運・財運を祈る
というように、まず不動明王に心を整えてもらい、そのうえで弁財天に前向きな願いを託すと良いでしょう。
学業成就・試験合格を願うなら
受験や資格試験、仕事の勉強などで力を発揮したいときは、
- 虚空蔵院の虚空蔵菩薩に「知恵・記憶力・集中力」をお願いし
- 大師堂の弘法大師に「学びを続ける力」をお願いする
という組み合わせが向いています。
もちろん、不動堂で「プレッシャーや不安を和らげてほしい」と祈るのも有効です。精神的な安定があってこそ、日々の努力が実を結びやすくなります。
参拝前に知っておきたい作法と、願い事の伝え方
寺院での基本的な参拝マナー
高幡不動尊はお寺なので、参拝作法は神社と少し違います。ただ、細かく形式を気にしすぎる必要はありません。失礼のないように、次のような流れを意識しておくと安心です。
- 仁王門をくぐる前に、軽く一礼する
- 手水舎で手と口を清める
- 本堂前では、賽銭箱にお賽銭を入れ、静かに合掌してお祈りする(柏手は打たない)
- お参りの前後に、軽く一礼して心を落ち着ける
お守りやお札を受ける場合は、境内のお札所や授与所で、お願いしたい内容を伝えながら受けましょう。
願いを伝えるときのポイント
願い事を伝えるときのポイントは、
- 誰が(自分や家族の名前)
- 何を(健康、仕事、恋愛、試験など)
- どのように(具体的にどうなりたいか)
を心の中で整理して、静かに言葉にすることです。
例えば、資格試験の合格を願う場合、
「いついつの試験で、落ち着いて実力を出し切れるよう助けてください。日々の勉強を続けられるよう、どうかお力をお貸しください」
というように、過度な「〇〇点で受からせてください」よりも、努力が実を結ぶ状態をイメージして祈ると、気持ちも前向きになります。
お礼参りも大切です。願いが叶ったとき、あるいは良い方向に進んだと感じたときには、「叶えていただき、ありがとうございます」と報告に伺うことで、自分自身の区切りにもなります。
季節行事とベストシーズン|あじさい・初詣・縁日を楽しむ
毎月28日のご縁日と「初不動」
高幡不動尊では、毎月28日が不動明王のご縁日とされ、多くの参拝客で賑わいます。特に1月28日の「初不動」は、一年の厄除け・開運を願う大切な日で、だるま市などの行事も開催されます。
ご縁日には護摩祈祷も行われるため、厄除けや大きな転機を迎える際の祈願に適したタイミングです。
あじさい・紅葉など四季の見どころ
初夏には、境内から裏山にかけて約250種・7500株ものあじさいが咲き誇る「あじさいまつり」が開かれます。
秋には紅葉、彼岸花も美しく、季節ごとの花と共に参拝できるのが高幡不動尊の魅力です。
花や自然に癒やされながらゆっくり歩くことで、心の緊張もほぐれていきます。願い事だけでなく、心身のリフレッシュを兼ねて訪れるのも良い時間の使い方です。
まとめ|高幡不動尊は「不動明王を中心に、多くの仏様・神様が集うお寺」
あらためて整理すると、「高幡不動尊 何の神様?」という問いへの答えは、次のようになります。
- 中心となるのは、ご本尊・不動明王。不動明王は、大日如来が人々を救うために怒りの姿となった仏で、厄除け・災難除け・交通安全などのご利益で信仰されている。
- 境内には、夫婦円満や恋愛成就の聖天さまを祀る聖天堂、金運・財運アップの福徳弁財天を祀る弁天堂、知恵と開運の虚空蔵菩薩を祀る虚空蔵院など、願い事に応じて参拝したい堂が揃っている。
- 大日堂の大日如来や大師堂の弘法大師に手を合わせることで、人生全体を見つめ直し、心を整える時間にもなる。
高幡不動尊は、一言でいえば「不動明王を中心に、多くの仏様・神様が集う総合的な祈りの場」です。
自分の願いが「厄除け」なのか、「恋愛」なのか、「金運」なのか、「学業」なのか。
今の気持ちと向き合いながら、どの堂で何をお願いするのかを決めていくと、参拝そのものが深い内省の時間になります。
これから高幡不動尊を訪れる方は、
- まずは不動堂で不動明王にご挨拶し
- 自分の願いに合った堂(聖天堂・弁天堂・虚空蔵院など)を巡り
- 最後に大日堂で静かに心を落ち着ける
そんなルートをイメージしてみてください。
きっと「何の神様か」という疑問だけでなく、自分がどんな願いを大切にしたいのかも、少しずつ見えてくるはずです。

