“紅白に出ない”のは落ち目なの?テレビとネットで違う価値基準とは

“紅白に出ない”のは落ち目なの?テレビとネットで違う価値基準とは

「最近あのアーティスト、紅白に出てないけど…もしかして落ち目?」

そんな声が今年の年末にも聞こえてきそうです。

でも本当に、紅白に出ない=人気がないのでしょうか?

実は今、ネットとテレビで“人気”の定義が大きく変わってきているんです。

この記事では、以下のようなことがわかります。

  • 紅白に出ないアーティストが増えている本当の理由
  • SNSやストリーミングで人気が可視化される時代の評価基準
  • TikTokでバズっても紅白に出ない理由とは?
  • 若者と中高年の「音楽の触れ方」の違い
  • 紅白の価値は今もある?それとももう古い?

「紅白に出ないと落ち目」と思っていた人も、きっと価値観が変わるはず。

ぜひ最後まで読んで、“本当の人気”について一緒に考えてみませんか?

“紅白に出ない”のは落ち目?その真相に迫る

近年、「あのアーティスト、紅白に出てないけど大丈夫?」という声がネット上で見られるようになりました。

でも本当に、紅白に出ない=人気が落ちた、ということなのでしょうか?

ここでは、出場しないアーティストの傾向や理由、そして選考基準の変化から、その真相に迫っていきます。

出場しないアーティストの近年の傾向とは

紅白に出ないアーティストが増えているのは事実です。

その背景には、人気の低下ではなく「出演しなくても人気を保てる仕組み」ができてきたという点が大きく関係しています。

まず、ストリーミングやSNSの普及により、テレビに頼らなくてもファンとの接点を持てるようになりました。

たとえば、YOASOBIやAimerなど、テレビに出る回数が少なくてもSpotifyやYouTubeで圧倒的な再生数を記録しています。

一方で、紅白に出ることが「国民的な証」とされていた時代には、どんなに忙しくてもスケジュールを調整して出演するのが通例でした。

しかし今は、むしろメディア露出をコントロールすることでブランド価値を高める戦略も珍しくありません。

また、紅白のステージ演出やパフォーマンス条件に制限があることを理由に、出演を避けるアーティストもいます。

特に自分たちの世界観や表現を大切にするアーティストほど、自由度の高い自分たち主導のライブや配信を選ぶ傾向にあります。

つまり、「出ない=落ち目」とは言い切れず、「出ない理由」が多様化しているのが実情です。

紅白出場にこだわらない理由とは?

アーティストが紅白出場にこだわらなくなった理由は、大きく3つあります。

テレビ以外の影響力が格段に高まったこと

SNSや動画配信サービスの登場により、紅白に出なくても大勢のファンにリーチできる環境が整いました。

例えば、TikTokでバズった楽曲がそのままストリーミングランキング上位に入り、その影響でテレビに出る前から全国区の知名度を得るケースが増えています。

紅白のターゲット層が限られてきた

近年の視聴者データを見ると、紅白は40代以上の視聴者に強く支持されている一方で、Z世代や若者層の視聴率は下がり続けています。

若年層に向けて活動しているアーティストにとっては、紅白は必ずしも「出る価値のある番組」とは言えなくなってきているのが現実です。

ブランディング戦略としての非出場

たとえば「テレビに出ない神秘的な存在」として認知されているアーティストは、あえて紅白のような大衆的な番組への出演を避けることで、コアなファン層との信頼や独自性を保っているケースがあります。

出場を避けることがむしろ“戦略的な選択”である時代。

これが「紅白=国民的番組」という価値観が揺らいでいる理由のひとつかもしれません。

実は選考基準にも変化があった

紅白歌合戦の出場者選考基準は、実はここ数年で大きくアップデートされています。

かつては「CD売上」「テレビ露出」「知名度」などが重視されていましたが、現在ではオンラインでの活躍やSNSでの話題性も加味されるようになっています。

NHKは公式に「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画にふさわしいか」を選考ポイントとして明言しており、その中にはYouTubeの再生回数やSNSでのバズリ度合いも含まれているとされています。

ただし、ここで重要なのは、SNSの評価軸がテレビとは違うロジックで動いているという点です。

たとえばTikTokでバズった楽曲は、一部のユーザーには圧倒的な人気を得ても、他の世代には全く知られていないということが普通にあります。

また、曲だけがバズってアーティスト名が浸透していない、という現象も起きやすいのが特徴です。

さらに、NHKは「公共放送」であるため、コンプライアンスや視聴者層への配慮が求められます。

そのため、SNS中心で活動するアーティストや、個性の強い演出を好むタイプのアーティストは選出されづらい傾向があるともいわれています。

つまり、紅白の選考には「幅広い世代に安心して届けられるアーティストかどうか」という基準が残っており、これがネット人気とズレる原因の一つになっているのです。

次は、ネットとテレビがなぜ評価基準でここまでズレてしまうのか、背景を深掘りしてみましょう。

テレビとネットで評価が違う理由とは?

紅白に出るかどうかをめぐる議論には、メディアごとの評価の違いが色濃く表れています。

ここでは、テレビとネットでなぜ評価基準がズレるのか、SNSやストリーミングの影響も含めて詳しく見ていきましょう。

SNSやストリーミングが人気の証明に?

今や音楽の「人気」はテレビ出演の回数ではなく、SNSでの話題性やストリーミング再生数で測られることが多くなっています。

SpotifyやApple Musicなどの再生数、YouTubeでのMV再生回数、そしてTikTokでの使用頻度などは、アーティストの影響力を可視化する重要な指標になっています。

例えばYOASOBIの『アイドル』は、アニメ【推しの子】の主題歌として国内外で大ヒットしましたが、テレビへの露出は控えめでした。

それでもストリーミングやSNSで爆発的に拡散され、国民的ヒットと呼ばれるまでになりました。

これはつまり、「テレビに出なくても人気を獲得できる」時代の象徴とも言える流れです。

また、ストリーミングでは若い世代が好む音楽が上位に並ぶため、テレビとは全く異なるヒット構造が生まれているのです。

このような環境では、もはや「紅白に出たかどうか」が人気の証明にはならないのかもしれません。

TikTokバズは紅白に反映されない?

TikTokでバズる=紅白出場、とは限らないのが今の現実です。

近年、TikTok発のヒット曲が急増していますが、その影響力がそのまま紅白出場に直結するとは言えません。

その理由の一つが、TikTokで流行る楽曲の“断片的な消費”です。

短い動画の中でサビやセリフの一部分だけが使われるため、曲全体を認識している人が少なく、アーティスト名まで広まらないことも多いのです。

さらに、TikTokでは音楽よりも“映像との相性”や“バズりやすさ”が重要視されます。

結果的に、一時的に話題になっても「誰の曲だったっけ?」となるケースが少なくありません。

一方で、NHKが紅白の選考で重視するのは継続的な人気や幅広い年齢層への浸透度です。

TikTokのように一過性で爆発するタイプの人気は、「持続性」や「世代横断性」に欠けるため、選考ではマイナス要素と捉えられることがあります。

また、TikTok文化が根付く若年層と、紅白のメイン視聴層である中高年の“音楽体験のズレ”も影響しています。

TikTokで流行っていても、中高年がまったく知らない…という状況では、NHKとしても選出しづらいのが現実です。

若者と中高年のメディア接触の違い

テレビとネットの評価基準のズレには、世代ごとのメディア接触習慣の違いが大きく関わっています。

若者世代、特にZ世代を中心とした10〜20代は、スマホでの情報収集が圧倒的に主流です。

音楽はYouTubeやTikTokで見つけ、InstagramやX(旧Twitter)で共有し、SpotifyやApple Musicで繰り返し聴くという流れが定着しています。

一方、中高年世代になると、テレビや新聞といった“受動的メディア”を通じて情報を得る傾向がまだ根強く残っています。

紅白の視聴率が40代以上で高く、若年層では極端に低いことも、この傾向を裏付けています。

つまり、テレビで見る機会がない=知られていないという前提が成り立たない世代が増えてきたのです。

また、Z世代は「テレビを見る=面倒」と感じることも多く、1曲丸ごと聴くより“サビだけ”“一番バズった部分だけ”の消費に慣れています。

これが「テレビでの披露」と「SNSでの流行」が乖離する原因にもなっているのです。

結果として、世代間で“知ってる曲”に大きな差が生まれ、紅白という「みんなが知っているアーティストを集める番組」が機能しにくくなってきています。

では、そんな時代において、「紅白に出ない=人気がない」は本当に成立するのでしょうか?

次は、紅白に出なくても人気を保ち続けるアーティストの実態を見ていきましょう。

“紅白に出ない”=人気がないのか?

「紅白に出ない=人気がない」という見方は、今の時代では必ずしも正しくありません。

ここでは、テレビに出なくても人気を維持・拡大しているアーティストの事例から、その誤解を解いていきます。

テレビ出演が少ないアーティストの人気実態

テレビに出る機会が少なくても、SNSやライブ活動、配信メディアなどを通じて人気を築いているアーティストはたくさんいます。

たとえば、Aimerやずっと真夜中でいいのに。

Vaundyといったアーティストたちは、テレビ出演が限定的にもかかわらず、ストリーミングチャートでは常連です。

ライブチケットも即完売し、YouTubeでのMV再生数も数千万回に及びます。

こうしたアーティストは、「自分たちの世界観を守る」ことを重視しており、テレビのように演出が制限される場よりも、自主制作の配信コンテンツやライブパフォーマンスに力を入れる傾向があります。

また、テレビに出ないことが逆に「レア感」「神秘性」につながり、コアなファン層の心をつかんでいることもあります。

実際、テレビに出る頻度が高くなると“露出過多”と感じられ、人気が失速するケースもあるため、あえて出ないという選択が「人気維持」の手段にもなっているのです。

紅白不出場でも話題になる戦略的成功例

紅白に出ていないにもかかわらず、大きな話題を呼んでいるアーティストは少なくありません。

それらは単なる偶然ではなく、明確な「戦略」による成功と言えます。

代表例のひとつが「新しい学校のリーダーズ」です。

彼女たちはテレビ出演こそ限られていますが、SNSや海外フェスへの出演で話題性を爆発的に高め、TikTokでは世界的にバズを起こしました。

その後、地上波やCMに少しずつ露出しながらも、「メインはネット」という立ち位置を崩さず、独自のポジションを確立しています。

また、Aimerもテレビに出ることなく『残響散歌』で大ヒットを記録し、ストリーミングとアニメ主題歌で知名度を一気に高めました。

その人気ぶりから、紅白出場前から「なぜ出てないの?」と話題になったほどです。

そして最近ではFRUITS ZIPPERのようなグループも、ライブやTikTokでの爆発力を武器に話題を広げていますが、あえて紅白出場を「来年以降にとっておく」戦略をとっているとも言われています。

このように、紅白に出ないことが「謎」や「注目」になり、それ自体がプロモーションとして機能する例もあるのです。

時代とともに変わる「人気」の定義とは

かつて「人気があるアーティスト」といえば、テレビに頻繁に出演し、CDの売上が高く、紅白にも出ている存在でした。

しかし今は、「人気=テレビ露出」ではなくなりつつあります。

現在の“人気”を測る指標には、以下のようなものが挙げられます:

  • ストリーミング再生数(Spotify、Apple Musicなど)
  • SNSでのエンゲージメント(フォロワー数、いいね、シェア数)
  • YouTubeやTikTokでの再生・使用回数
  • ライブの動員力
  • ファンコミュニティでの熱量

これらはすべて「ファンがどれだけ熱狂しているか」を表すもので、必ずしも“幅広い層に知られている”必要はありません。

むしろ、“コアなファン”がどれだけ濃く、強く応援しているかの方が、現代のアーティスト活動では価値が高いとも言われています。

この流れのなかで、「紅白に出るかどうか」はもはや“ひとつの選択肢”に過ぎず、「出る=成功」「出ない=失敗」という単純な図式では語れなくなってきています。

これからの時代、アーティストの人気は“自分たちのフィールドでどうファンとつながっているか”で決まるのかもしれません。

次は、そうした中でもなお紅白が持つ“意味”や“価値”について見ていきましょう。

紅白の価値は今も健在なのか?

ネット全盛の時代においても、「紅白=オワコン」とは言い切れません。

ここでは、紅白が今なお持つ価値や影響力、アーティストにとっての意味について見ていきましょう。

紅白出場がもたらすメリットとは

紅白に出場することで得られる最大のメリットは、「世代を超えた認知」です。

NHK紅白歌合戦は、今でも年間視聴率トップクラスの番組であり、特に中高年層に対しては非常に大きな影響力を持っています。

テレビ離れが進むなかでも、家族が集まる年末という特別なタイミングに放送されることで、普段テレビを見ない層にもリーチできるのが強みです。

また、NHKという公共放送が主催するイベントへの出演は「品格」や「信頼性」の象徴ともなり、CM起用や企業案件にもプラスに働くことがあります。

新人アーティストにとっては「一気に全国区になるチャンス」、ベテランにとっては「再注目される舞台」として機能しているのです。

アーティストにとっての紅白の役割

アーティストにとって、紅白はただの「歌番組」ではなく、“キャリアの節目”や“世代への橋渡し”としての意味合いを持っています。

特に若手アーティストにとっては、紅白出場が「国民的ブレイク」の証明として受け止められ、世間一般への知名度を一気に高めるきっかけになります。

例えば、tuki.やME:IのようなZ世代向けアーティストも、紅白に出たことで親世代や一般層にも認知が広がりました。

一方で、ベテランや実力派アーティストにとっては、紅白のステージは「節目を飾る特別な舞台」であり、過去の代表曲を再演することで再評価を受けるチャンスにもなっています。

また、「親が喜ぶから」「家族で観たかったから」といった“私的な理由”で出演を希望するアーティストも少なくなく、紅白にはテレビ離れ世代でも共感を持つ“感情的価値”があるのです。

ただし、すでにネットで確固たる人気を築いているアーティストにとっては、紅白は「必須のステップ」ではありません。

つまり、紅白の役割は“唯一の登竜門”から、“選べるプロモーション手段の一つ”へと変わってきたとも言えるのです。

では、視聴者側から見た紅白の“意味”はどう変わってきているのでしょうか?

視聴者から見た紅白の位置づけの変化

紅白歌合戦は、かつて「家族全員で楽しむ大晦日の定番」として、圧倒的な存在感を誇っていました。
しかし、時代の変化とともに、その位置づけも少しずつ変わってきています。

特にZ世代やミレニアル世代では、年末でもスマホや動画配信サービスで自分の好きなコンテンツを選ぶ傾向が強く、「家族でテレビを囲む」という習慣自体が薄れつつあります。

一方で、紅白が「世代を超えて話題を共有できる数少ない場」であることに価値を感じている人も多く、SNSでは放送中にリアルタイムで感想が飛び交うなど、イベント的な盛り上がりは依然として存在しています。

また、推しアーティストの出場が決まった時には、普段テレビを見ない層でも「その瞬間だけ観る」という行動もあり、“特定の出演者”を目的とした視聴が増えています。

このように、視聴スタイルは変わっても、「紅白=特別感のある舞台」としてのブランド力は一定の影響力を保っています。

とはいえ、今の時代においては「紅白に出る=成功」「出ない=落ち目」と単純に判断するのは、やや時代遅れかもしれません。

アーティストも視聴者も、それぞれのスタイルで「音楽との向き合い方」を選べる時代になってきているのです。

まとめ

今回の記事ではこんなことを書きました。以下に要点をまとめます。

  • 紅白に出ないアーティストが増えているが、それは「落ち目」とは限らない
  • テレビ以外のメディア(SNS・ストリーミング)で十分な人気や影響力を持つ時代
  • NHKの紅白選考基準も変化しており、ネット上の話題性も考慮されている
  • TikTokなどでは楽曲だけがバズり、アーティスト名が浸透しない現象がある
  • 世代ごとのメディア接触習慣が評価基準のズレを生んでいる
  • 紅白に出なくても人気を維持している戦略的アーティストが存在する
  • 今の人気の定義は「テレビ出演数」より「ファンとの接点と熱量」
  • 紅白には今も一定のブランド価値があるが、出場は“選択肢の一つ”になりつつある

紅白に出場することが、すべてのアーティストにとっての「目標」とは限らなくなってきました。

これからは、どのメディアでどう発信していくかをアーティスト自身が自由に選ぶ時代。

記事を読んだあとは、自分の“推し”が紅白に出ていなくても、堂々と応援し続けてあげてくださいね。

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