最近、SNSやニュースで話題になったはずの出来事を、気づけばすっかり忘れてしまっていた…そんな経験はありませんか?
この記事では、「話題のニュースがなぜすぐ忘れられるのか?」という疑問をテーマに、現代人の記憶と情報消費の関係についてわかりやすく解説していきます。
この記事では以下の内容をやさしく解説していきます。
- 情報の流れが早すぎて疲れてしまう理由
- SNSのアルゴリズムが記憶に与える影響
- “共感”が記憶を左右する脳のしくみ
- “忘れる”という行為の意味と役割
- 情報に飲み込まれずに過ごすための実践的な工夫
記事を読み終える頃には、「情報との向き合い方」について自分なりのスタンスを見つけるヒントが見つかるはずです。
この情報社会を、もっと軽やかに生きるために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
話題の賞味期限が短すぎる時代
SNSやニュースアプリを開けば、昨日まで大騒ぎしていた話題が、翌日には見向きもされなくなる。
そんな「話題の賞味期限」が極端に短くなっている現代では、情報が一瞬で流れては消えていくのが当たり前になりました。
ここでは、私たちがなぜ次々と話題を忘れてしまうのか、その背景にある構造を2つの視点から掘り下げていきます。
トレンドは“使い捨て”されるようになった
話題のニュースが一瞬で消費されるのは、現代の「情報の量」と「スピード」が大きな原因です。
毎日大量のニュース、SNSの投稿、動画が生み出され、それらは流行として一瞬で拡散されます。
しかしその分、私たちは1つひとつの情報に「長く向き合う」ことをしなくなってしまいました。
たとえば、昨日までTwitterでトレンド入りしていた話題が、今日になると誰も話していない。
それは決して「大事ではなかった」ということではなく、次から次へと流れてくる新しい情報にかき消されてしまうからです。
こうした現象は、まるで情報が“使い捨て”されているかのようです。
どんなに話題性があっても、私たちの記憶に定着する前に、次の波に飲まれてしまうのです。
だからこそ、トレンドに流されるのではなく、自分の中で「どの情報を覚えておくか」を選ぶ力が求められています。
アルゴリズムが“消費の早さ”を加速させる
情報が次々と忘れられていく背景には、「アルゴリズム」の存在も大きく関係しています。
SNSや動画プラットフォームは、私たちの好みや関心に合った“おすすめ”を次から次へと表示してくれます。
これにより、私たちは絶えず新しいコンテンツに触れることができる一方で、「前に見た情報」を思い返す余白がほとんどありません。
たとえば、YouTubeやTikTokでは、動画を見終わるとすぐに次の動画が始まり、過去の内容をじっくり考える時間が奪われますよね。
同様に、InstagramやX(旧Twitter)では、過去の投稿がすぐにタイムラインの奥に押し流されてしまいます。
このようにアルゴリズムは、私たちに“情報の高速消費”を強制しているともいえます。
その結果、印象的なニュースであっても、短時間のうちに忘却の彼方へ押しやられてしまうのです。
情報の洪水の中では、「じっくり記憶する」ことよりも、「早く次を知る」ことが優先されてしまう。
これは、記憶に残りにくい社会構造がすでに出来上がっていることを意味しています。
では、私たちの「記憶そのもの」はどのような特性を持っているのでしょうか?
次は、人間の記憶に定着する“本当の条件”を見ていきますね。
人の記憶は“共感”で定着する
人間の記憶は、情報の“量”よりも“感情”や“共感”によって強く定着するという特徴があります。
つまり、いくら話題性のあるニュースでも、心が動かなければ私たちの記憶には残りにくいのです。
ここでは、記憶に残る情報の条件と、SNS時代における“共感”の重要性について詳しく見ていきます。
事実よりも“感情”に残る情報
記憶に残りやすい情報とは、「感情が動いた瞬間」に触れた内容です。
たとえば、テレビで見た感動的なエピソードや、SNSで流れてきた衝撃的なニュース。
こうした情報は、数字やデータといった“事実”よりも、感情的なインパクトによって記憶に焼きつきます。
これは、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部分が、感情と記憶の結びつきに深く関わっているためです。
扁桃体が強く反応するような出来事は、長期記憶として残りやすくなります。
逆にいえば、事実だけを淡々と並べた情報は、感情を動かさない限りすぐに忘れられてしまうのです。
だからこそ、私たちは“共感”できる物語やリアルな声に引き込まれ、強く記憶するのですね。
では、「バズった情報」と「記憶に残る情報」には、どんな違いがあるのでしょうか?
バズる情報と“記憶に残る”情報の違い
SNSでバズる情報と、私たちの記憶に残る情報は、実は似て非なるものです。
バズる情報は、「短時間で多くの人に拡散される」という特徴を持っています。
タイトルのインパクト、意外性、炎上要素など、“瞬間的な注意”を引く要素が強く働いています。
しかし、こうした情報は“刺激的すぎる”がゆえに、脳が一時的に反応して終わってしまうことが多いんです。
それはまるで「強い味付けのスナック菓子」を食べてすぐ満足し、すぐに次を欲しがる感覚に似ています。
一方で、記憶に残る情報は、もっと“じんわり染み込む”ような構造をしています。
そこには共感やリアリティがあり、自分ごととして受け止められる背景があります。
たとえば、自分の経験と重なった出来事、好きな著名人の心情を知ったときなどは、何度も思い返すことで記憶が強化されていきます。
これは一時的な“バズ”とは違い、記憶の中に「感情ごと保存される」からなんです。
つまり、バズることと記憶に残ることは、必ずしも一致しない。
話題性よりも「どれだけ心を動かしたか」が、記憶に深く関係しているのです。
次は、こうした記憶のしくみに加えて、「忘れること」そのものに注目してみましょう。
“忘れること”にも実は、大切な意味があるんですよ。
“忘れる”ことにも意味がある?
私たちは「忘れる=悪いこと」と思いがちですが、実は忘却にはとても大きな役割があります。
すべての情報を記憶し続けていたら、脳は処理しきれずパンクしてしまうからです。
ここでは「脳がなぜ情報を忘れるのか」「忘れることの価値」について考えていきます。
脳が情報を選別している
私たちの脳は、1日に何千件もの情報を受け取っています。
しかしそのすべてを記憶しているわけではなく、「必要かどうか」を無意識に判別して取捨選択しています。
この“選別機能”は、脳の「海馬(かいば)」という部分が担っており、記憶として残すべきかどうかを瞬時に判断しているんです。
その結果、意味がないと判断された情報や、繰り返し思い出されない情報は、どんどん忘れられていきます。
たとえば、通勤中に見かけた広告や、何気なく流れてきたSNSの投稿など、あとから思い出せないことって多いですよね。
それは、脳が「覚える必要がない」と判断した証拠なんです。
このように、“忘れる”という行為自体が、私たちの脳を守る自然なシステムなんですよ。
“忘れる力”があるから次に進める
人は、すべてのことを覚えていたら前に進めません。
たとえば、過去の失敗や悲しい出来事。
それらを完全に忘れないまでも、「心の奥にしまっておける力」があるからこそ、私たちは新しい挑戦をしたり、次の一歩を踏み出せるんですよね。
この“忘れる力”は、記憶を「都合よく改変する力」でもあります。
脳は、自分にとって不都合だったり、感情的に重すぎる記憶を、少しずつぼやかしてくれるんです。
また、「記憶が薄れる」ことによって、情報の更新もしやすくなります。
たとえば数年前の常識が変わったとして、それを柔軟に受け入れられるのも、古い情報を手放す“忘却力”があるからです。
つまり、“忘れること”は、単なる欠点ではなく、「前向きに生きるための機能」でもあるんです。
忘れるからこそ、新しい情報を入れたり、柔軟に考えたりすることができるんですね。
次は、こうした情報社会に生きる中で、どうすれば「情報に飲まれず」過ごせるのかを見ていきます。
ちょっとした習慣の工夫で、情報との向き合い方は大きく変わるんですよ。
情報に飲み込まれないためにできること
次々と押し寄せるニュースやSNSの話題に、気づけば心が疲れていることってありますよね。
そんな現代だからこそ、私たちには「情報と適度な距離を取る工夫」が必要です。
ここでは、情報に飲まれず、自分のペースで記憶と向き合うための習慣を2つご紹介します。
あえて「遅れて知る」習慣を持つ
「今すぐ知ること」に価値があると思われがちな時代ですが、あえて“情報を後から知る”という選択もありなんです。
たとえば、ニュース速報やSNSのトレンドにすぐ飛びつかず、1日〜数日経ってからじっくり読む。
この「遅れて知る」スタンスを取ることで、情報に対する感情の高ぶりや焦燥感が和らぎ、冷静に内容を受け止めやすくなります。
また、少し時間をおいてから読むことで、本当に必要な情報かどうかの判断もしやすくなります。
結果として、“記憶に残す価値のある情報”だけを選ぶ習慣が身についていくんです。
世の中のスピードに合わせるばかりでなく、自分の感覚や生活リズムに合った情報の取り入れ方を意識すること。
それが、情報過多の時代を健やかに生き抜くヒントになります。
“深く読む”ことが記憶と学びを生む
情報をただ「読む」のと、「深く読む」のとでは、記憶への定着度がまったく違います。
たとえば、同じ記事をスマホで流し読みしたときと、紙の本でじっくり読み込んだときでは、頭に残る内容に差があると感じたことはありませんか?
これは、「読むスピード」と「集中度」の違いが大きく影響しています。
SNSでは、文字数制限や短い動画など“すぐに消費される前提”で情報が設計されています。
そのため、内容の理解よりも「次に進むテンポ」に意識が向きやすく、記憶に残りづらくなってしまうんです。
一方で、「この内容を理解したい」と思いながら読むと、脳は“記憶モード”に切り替わります。
重要だと判断された情報は、繰り返し思い返されたり、誰かに話したくなったりすることで、長期記憶として保存されやすくなるんですよ。
つまり、“深く読む”という行為そのものが、記憶と学びを育てる習慣なんです。
忙しい日々の中でも、たまにはペースを落として、じっくり情報と向き合う時間をつくってみるのも良いですね。
さて、ここまでで情報と記憶の関係を見てきましたが、最後に「速く消える情報」と私たちはどう付き合えばいいのかを整理していきましょう。
まとめ
膨大なニュースやトレンドに囲まれる今の時代、私たちは「情報を選ぶ力」と「受け止める姿勢」が求められています。
一瞬で話題になり、一瞬で忘れ去られる情報。
それらすべてに反応していては、心も脳も疲れてしまいますよね。
だからこそ、「すべてを追わなくても大丈夫」という感覚を持つことが大切なんです。
情報のすべてを知ることよりも、「自分にとって価値があるかどうか」を軸に取捨選択することが、健全な情報との付き合い方です。
バズった情報にすぐ反応するより、自分の感情に寄り添った“共感できる情報”を選ぶことが、心に残るきっかけになります。
さらに、あえて「遅れて知る」「深く読む」といったスタンスを取ることで、記憶力や集中力の回復にもつながるんです。
大切なのは、“忘れてしまう自分”を責めないこと。
情報との距離感を見つめ直すことで、自分らしい記憶との付き合い方が見えてきますよ。