伊勢神宮の境内で、神職に導かれて歩く神馬の姿を一度は見てみたいと考えている方は多いと思います。
しかし「どこで待っていればいいのか」「何時ごろ行けば会えるのか」が分からず、せっかく参拝してもタイミングを逃してしまう人も少なくありません。
伊勢神宮で神馬に会える主な機会は 内宮・外宮それぞれの御厩(みうまや) と、毎月 1日・11日・21日の午前8時ごろに行われる「神馬牽参(しんめけんざん)」 の2つです。
ただし、天候や神馬の体調によっては神馬牽参が行われない日もあり、いつ行っても必ず会えるとは限りません。
この記事では、伊勢神宮の神馬に会える場所と時間を具体的に整理しながら、内宮・外宮それぞれの御厩の位置、神馬牽参の様子、マナーや注意点まで分かりやすく解説します。
初めての伊勢旅行の方でもイメージしやすいように、参拝ルートの中で「どこでどう動けばよいか」を具体的にお伝えしていきます。
伊勢神宮の神馬に会える場所と時間
まずは、神馬に会いたい人が一番知りたい、いつ・どこでの部分だけを先に整理します。
- 内宮・外宮それぞれに御厩(神馬の厩舎)があり、運が良ければそこで神馬に会える。
- 毎月 1日・11日・21日の午前8時ごろ、神職に伴われて正宮に向かう「神馬牽参」が行われる(内宮・外宮とも)。
※雨天時や神馬の体調によっては、当日中止になる場合があります。
ここから先では、この場所と時間をもう少し具体的に見ていきます。
内宮・外宮に神馬がいる「御厩(みうまや)」とは
伊勢神宮には、内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)のそれぞれに神馬をつなぐ 御厩(みうまや) があります。
御厩は、一般的な神社でいう「神厩舎」にあたる建物で、皇室から奉納された神馬がここで暮らしています。
外宮の御厩は、案内板などでも「御厩」として明示されており、裏参道の北御門鳥居の南側、忌火屋殿の北側という、境内のやや奥まった位置にあります。
内宮にも同様に御厩があり、神楽殿周辺や火除橋付近など、参拝ルートから少し外れた静かな一角に設けられています。
毎月1日・11日・21日の「神馬牽参」の時間帯
神馬牽参は、毎月 1日・11日・21日 に行われる神事で、午前8時ごろを目安に神馬が神職に伴われて正宮にお参りします。
実際には、神馬が御厩を出て、参道を歩き、正宮前での拝礼を終えるまでを含めて、全体で10分程度といわれています。
午前8時ちょうどに正宮近くへ着いたら、すでに神馬牽参がほぼ終わっていたという例もありますので、確実に姿を見たい場合は少なくとも7時40分〜50分ごろまでに、御厩近くか参道沿いに到着しておくと安心です。
雨天や体調不良で行われない場合もある
公式情報でも、神馬は雨天時や体調によって、神馬牽参を行わないことがあると明記されています。
その場合、午前8時前に待っていても参道を歩く姿は見られません。
また、神馬は境内の御厩だけでなく、外宮域外などに設けられた神馬休養所で休んでいることもあり、日によっては御厩周辺にも姿がないことがあります。
「会えたらご縁」と受け止めるくらいの気持ちで計画すると、実際の旅も楽しみやすくなります。
そもそも伊勢神宮の神馬とは?役割と歴史
神馬に会うための「コツ」だけでなく、そもそも神馬がどういう存在なのかを知っておくと、神馬牽参を見たときの感動が大きく変わります。
皇室から奉納される特別な馬
伊勢神宮の神馬は、皇室から奉納された馬 です。
古くから、雨を願うときは黒毛の馬、晴れを願うときは白毛の馬を献上する、といった規定が延喜式などの古い法令にも見られ、神社と馬の関係は長い歴史があります。
現在の伊勢神宮では、内宮と外宮にそれぞれ2頭ずつ、計4頭の神馬がいるとされ、なかでも外宮の白馬(芦毛)は「白いペガサス」と呼ばれることもあります。
神馬の名前は、その年の宮中歌会始のお題にちなんで付けられており、たとえば外宮には「草音号(くさおとごう)」「笑智号(えみともごう)」といった名前の神馬が奉納されています。
神馬牽参という神事の意味
神馬牽参は、神馬が神前にお参りする儀式です。
神馬は、菊花紋章の入った馬衣をまとい、神職に導かれながら参道を進み、正宮前で神職の拝礼に合わせて頭を下げるように動きます。
見学者の間では、「神馬の姿を見られると縁起が良い」「良い一年のスタートになる」と語られることも多く、特に1日の朔日参りでは、多くの参拝者が神馬牽参を一目見ようと早朝から足を運びます。
ただし、これはあくまで民間信仰的な捉え方であり、「見られなかったから運が悪い」という意味ではありません。
神馬休養所と普段の暮らし
神馬は、常に御厩の中にいるわけではありません。
内宮・外宮それぞれに設けられた神馬休養所で過ごす時間もあり、とくに参拝者の多い時間帯には、馬の安全やストレス軽減のため、休養所で過ごしていることもあります。
専門サイトによると、神馬は1日に数回に分けてエサや干し草を与えられ、厩務員が常駐して体調管理を行っているとされています。
そのため「御厩に行ったのに誰もいなかった」という日があるのは、異常ではなく、ごく自然なことだと理解しておくとよいでしょう。
内宮で神馬に会う方法とおすすめルート
ここからは、実際に参拝するときの動き方をイメージしながら、内宮(皇大神宮)で神馬に会う方法を見ていきます。
内宮の御厩の場所と行き方のイメージ
内宮の参拝は、宇治橋を渡り、五十鈴川の御手洗場や神楽殿、正宮といった順番で進むのが一般的なモデルコースです。
このルートの中で、御厩は、神楽殿や参集殿の周辺など、メインの参道から少し外れた裏手の一角にあります。
現地の案内図では「御厩」として表示されているので、初めての方はまず案内板を確認し、正宮参拝の前後で立ち寄るイメージを持っておくと安心です。
境内は広く、あれこれ見ながら歩いているとすぐに時間が経ってしまうので、「今日は御厩にも寄る」と決めておくと、見落としにくくなります。
神馬牽参を見るときの立ち位置と動線(内宮)
内宮で神馬牽参を見たい場合、ポイントになるのは 「どの参道沿いに立つか」と「何時ごろ着くか」 です。
- 宇治橋から正宮へ向かうメインの参道沿い
- 正宮前の階段より少し手前のあたり
といった場所では、神馬がゆっくりと進む姿や、神職の拝礼の様子を遠目に見ることができます(当日の混雑状況により距離感は変わります)。
経験談では、8時ちょうどに着いたところ、すでに神馬牽参のクライマックスは終わっていたという例もあるため、7時40分〜50分ごろまでに参道沿いに到着しておく と、ゆとりを持って場所を選びやすくなります。
なお、正宮前は写真撮影を控えるべき場所でもあり、神馬がいるときもフラッシュ撮影は厳禁です。
内宮参拝と組み合わせたスケジュール例
内宮で神馬牽参を見たい場合、次のような流れがイメージしやすいでしょう。
- 7時30分ごろまでに宇治橋付近に到着
- 宇治橋を渡り、五十鈴川の御手洗場や参道を進みつつ、神楽殿〜正宮方面へ移動
- 7時45分ごろまでに、参道沿いまたは正宮手前の見学しやすい位置に立つ
- 神馬牽参の様子を見届けたあと、正宮へ参拝
- 帰り道か別宮参拝のついでに御厩に立ち寄る
余裕があれば、神馬牽参のあとに別宮の荒祭宮や風日祈宮にも参拝すると、伊勢神宮らしい荘厳な雰囲気をたっぷり味わえます。
外宮で神馬に会う方法とおすすめルート
続いて、外宮(豊受大神宮)で神馬に会う方法を見ていきます。外宮は内宮に比べて落ち着いた雰囲気で、神馬とも少し近い距離感で出会えることがあります。
外宮の御厩の場所(北御門鳥居・忌火屋殿まわり)
外宮の御厩は、裏参道の北御門鳥居の南側、忌火屋殿の北側に位置しています。
参拝ルートの例では、正宮→多賀宮→風宮などを回ったあと、五丈殿・忌火屋殿・御厩という順に進むコースが紹介されており、境内を一周する流れの終盤で御厩に到着するイメージです。
御厩の前には案内板があり、神馬がいないときも「ここに神馬がいる」ということを感じ取れる場所です。
御厩で神馬に会える可能性と時間帯の目安(外宮)
神馬は、神馬牽参の時間以外にも、御厩や神馬休養所で過ごしています。
専門サイトや体験談では、午後の時間帯などに御厩で神馬を見かけた例も紹介されていますが、公式に「いつなら必ずいる」と発表されているわけではありません。
あくまで目安として、
- 神馬牽参の後しばらく(午前)
- 観光客がやや落ち着く午後の時間帯
くらいに御厩をのぞくと、会える可能性が高いと語られることがありますが、日によって状況は変わるため、「会えれば幸運」と考えておくのが現実的です。
外宮→内宮と巡る場合のモデルプラン
伊勢神宮参拝では、「外宮先祭」といって外宮から先に参拝するのが古くからの習わしとされています。
神馬にも会いたい場合、次のような流れをイメージすると、動きやすくなります。
- 神馬牽参を 外宮で見るパターン
- 早朝に外宮へ向かい、7時40分ごろまでに参道沿いへ
- 神馬牽参を見学したあと、正宮や別宮、多賀宮などをゆっくり参拝
- 御厩に立ち寄り、神馬の様子を確認
- バスや車で内宮へ移動して、宇治橋からの参拝を楽しむ
- 神馬牽参を 内宮で見るパターン
- 朝は内宮で神馬牽参を見学
- その後、宇治橋や五十鈴川、別宮参拝を楽しむ
- 午後に外宮へ移動して、御厩に立ち寄る
神馬牽参は内宮・外宮ともほぼ同じ時間帯に行われるため、同じ日に両方の神馬牽参を見るのは現実的ではないと考えた方が無難です。
どちらか一方を「神馬牽参の見学」、もう一方を「御厩で神馬に会えたらラッキー」といったスタンスで組み合わせるのが現実的です。
神馬に会えなかったときの楽しみ方と心構え
どれだけ事前に調べても、神馬牽参が中止になったり、御厩が空だったりする日もあります。
そんなときに「外れだった」と感じてしまうと、せっかくの伊勢参りそのものが味気なくなってしまいます。
会えない理由と「神馬休養所」の存在
すでに触れたとおり、神馬は境内の御厩だけでなく、内宮・外宮それぞれに設けられた神馬休養所でも過ごしています。
特に参拝者の多い時間帯や天候の悪い日には、馬の安全や健康のため、休養所で静かに過ごしていることも珍しくありません。
神馬休養所は一般公開されていない施設なので、見学することはできませんが、「今日は休養日だったのだな」と受け止め、神馬の健康を祈るのも一つの参拝のかたちです。
神馬の気配を感じるスポット
神馬に直接会えない日でも、「神馬がここにいる(いた)」と感じられるスポットは境内にいくつもあります。
- 内宮・外宮それぞれの御厩の前
- 神馬牽参が行われる参道や正宮前の空間
- 宇治橋や五十鈴川など、神宮の森と水の気配を感じる場所
こうした場所を丁寧に歩きながら、「この道を今日も、もしくは昨日まで神馬が歩いていたのだろうな」と想像してみると、実際に姿を見ていなくても、神馬とのご縁を感じ取れると思います。
他の馬ゆかりの神社・行事へ興味を広げる
伊勢神宮の神馬に興味を持ったら、日本各地の「馬にゆかりのある神社」や、馬に関する神事にも目を向けてみると、旅の楽しみがさらに広がります。
京都の駈馬神事や、馬頭観音を祀るお寺、馬の守護を掲げる神社など、馬と神仏の関わりをテーマにした参拝は、伊勢神宮の神馬を起点に広がっていく世界です。
伊勢で神馬に会えなかったとしても、そうした「次の旅へのきっかけ」として受け止めることができれば、それもまた大きな収穫といえるでしょう。
神馬を見学するときのマナーと注意点
最後に、神馬牽参や御厩で神馬を見学する際のマナーを整理しておきます。
神馬は神様にお仕えする大切な存在であり、同時に生き物でもあります。
距離の取り方・フラッシュ撮影・子どもの安全
神馬牽参の最中や御厩の前では、次のような点に気を付けると安心です。
- 神馬や神職のすぐそばに押し寄せず、係員や警備の指示に従って、余裕のある位置から見学する
- フラッシュ撮影や大きなシャッター音は避ける(馬は光や音に敏感なことがあります)
- 小さなお子さん連れの場合は、突然走り出したり、大声を上げないよう、手をつないで行動する
特に朔日参りや連休中など、人出が多い日は、見学場所を確保しようとして無理に割り込むと危険です。
「よく見えなくても、無事に神馬が通ってくれることが何より大事」という気持ちで見守ると、場の空気も穏やかになります。
混雑しやすい日と時間帯の工夫
神馬牽参は、月初めの1日、特に朔日参りの日は見学者も多く、早朝にもかかわらず参道が混雑します。
混雑を少しでも避けたい場合は、以下のような工夫も考えられます。
- 1日よりも、11日や21日を狙う(ただし平日でも混むことあり)
- 神馬牽参を見るのではなく、あえて午後の静かな時間帯に御厩でのんびり神馬を探す
- 朔日参りの日は「見えたらラッキー」くらいのつもりで、無理に最前列を目指さない
「絶対にこの角度から、この距離で撮りたい」とこだわりすぎると、動きが不自然になり、周囲とのトラブルのもとにもなります。
自分自身も含め、そこにいるすべての人と神馬にとって心地よい距離感を意識することが、何より大切です。
まとめ|伊勢神宮の神馬とのご縁を、旅の思い出に
あらためて、伊勢神宮の神馬に会える場所と時間を整理すると、次のようになります。
- 神馬は、内宮・外宮それぞれの御厩におり、タイミングが合えばそこで姿を見ることができる
- 毎月1日・11日・21日の午前8時ごろには、神馬が正宮にお参りする神馬牽参が行われる(天候・体調により中止の場合あり)
- 神馬は神馬休養所で過ごす時間もあり、いつ行っても必ず会えるわけではない
内宮・外宮それぞれの御厩の位置や参拝ルートをあらかじめイメージしておけば、当日あわてずに動くことができます。
また、「会えたらご縁、会えなくても伊勢参りそのものが尊い時間」という視点を持っておくと、旅の満足度はぐっと高まります。
伊勢神宮で神馬と出会うことは、写真映えする瞬間以上に、「神様にお仕えする馬がここにいる」という事実に向き合う、特別な機会でもあります。
時間と心に少し余裕を持たせて、神馬とのご縁を、あなたの伊勢旅行の大切な思い出の一つとして刻んでいただければ幸いです。

